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写本コレクション
羊皮紙工房では、各時代・地域の羊皮紙や写本の研究のため、約50点の羊皮紙写本を所有しています。ここでは、その一部である14世紀から19世紀にかけての羊皮紙に書かれた手書き写本および書類をご紹介します。羊皮紙工房が行う講座・講習などでは実際に手に取ってご覧いただけます。

ヨーロピアン・コレクション
フランス、イギリス、イタリアの写本と公文書
オリエント・コレクション
ユダヤ圏、イスラム圏、エチオピアの写本

■ ヨーロピアン・コレクション


神聖ローマ皇帝カール5世発行の叙爵証書 (1550年 スペイン)
※写真にマウスまたは指を乗せると拡大鏡で部分的に拡大できます。
■発行日: 1550年9月6日付
■授与者: 神聖ローマ皇帝カール5世(スペイン王カルロス1世)
■受領者: Niculas de Campoo(Carrionという街の議員)
■発行地: スペイン バリャドリッド(カスティーリャ・イ・レオン州)
■言語:  スペイン語
■素材:  本文:羊皮紙(ひつじ皮、平均厚さ0.21mm)、装丁:仔牛革
■ページ数:  98ページ(49枚)
■サイズ:  装丁縦36.5x横26.3cm、羊皮紙縦34.8x横24.8cm

「叙爵証書」とは、その土地の権威者から貴族の地位を付与される際の証明文書です。今回展示の冊子の場合は、授与者は当時のスペイン王でもあった神聖ローマ皇帝カール5世です。彩色のあるページとその隣のページの数行はすべて神聖ローマ皇帝カール5世の肩書となっています。

彩色ページ上部には、受領者であるNiculas de Campooの紋章が描いてあります。水を表すような2本の波線と、ハンターまたはそれに関連して動物を提供する「おもてなし」などを意味する「猪の首」が描かれています。地の金色は、特に身分とは関係なく一般的な紋章の色です。(兜は紋章の一部ではなく飾り)

本物の金を粉末にした絵具「金泥」を地にして描かれたボーダー装飾は、「ヒスパノ・フレミッシュ」(スペイン+フランドル)様式。フランドルのゲント・ブルージュ様式を踏襲し、動植物が立体的に描かれています。キリスト教的モチーフではなく、ローマ神話の女神「フローラ」が円の中に描かれている珍しい例です。

文字はイタリアやイベリア半島で用いられた丸っぽい書体の「ゴシック・ルタンダ」体。後ろの方のページには、異なる書記が筆記体で文章を書いており、この時期の書体を知る上で貴重な史料となっています。










ラテン語 時祷書 (聖母時課 賛課)
フランス ルーアン
1470年頃

内容
旧約聖書 詩篇93章、詩篇100章

<ラテン語原文>
[recto]
(Ant) Assumpta est.
Dominus regnavit, decore indutus est: indutus est Dominus fortitudinem, et praecinxit se.
Etenim firmavit orbem terrae: qui non commovebitur.
Parata sedes tua ex tunc: a saeculo tu es.
Elevaverunt flumina Domine: elevaverunt flumina vocem suam.
Elevaverunt flumina fluctus suos: a vocibus aquarum multarum.
Mirabiles elationes maris:

[verso]
mirabilis in altis Dominus.
Testimonia tua credibilia facta sunt nimis: domum tuam decet sanctitudo Domine, in longitudine dierum.

Iubilate Deo omnis terra: servite Domino in laetitia.
Introite in conspectu eius: in exultatione.
Scitote quoniam Dominus ipse est Deus: ipse fecit nos, et non ipsi nos.
Populus eius, et oves pascuae eius, introite portas eius in confessione: atria eius in hymnis confitemini illi.

<日本語訳>
聖母は被昇天なさった。
(詩篇 93)
主こそ王。威厳を衣とし/力を衣とし、身に帯びられる。世界は固く据えられ、決して揺らぐことはない。
御座はいにしえより固く据えられ/あなたはとこしえの昔からいます。
主よ、潮はあげる、潮は声をあげる。潮は打ち寄せる響きをあげる。
大水のとどろく声よりも力強く/海に砕け散る波。さらに力強く、高くいます主。
主よ、あなたの定めは確かであり/あなたの神殿に尊厳はふさわしい。日の続く限り。

(詩篇 100)
全地よ、主に向かって喜びの叫びをあげよ。
喜び祝い、主に仕え/喜び歌って御前に進み出よ。
知れ、主こそ神であると。主はわたしたちを造られた。わたしたちは主のもの、その民/主に養われる羊の群れ。
感謝の歌をうたって主の門に進み/賛美の歌をうたって主の庭に入れ。感謝をささげ、御名をたたえよ。
主は恵み深く、慈しみはとこしえに/主の真実は代々に及ぶ。






ラテン語 時祷書 (聖母時課 一時課)
フランドル
1450年頃
120 x 85 mm

この写本はフランドル地方でイギリスのパトロンのために作られたものです。そのため、フランドル風ではなく、イギリス用の装飾となっています。
ただし、フランドルで作成されたため、非常に薄く質の良い羊皮紙が使われています。羊皮紙の厚さは0.08mmです。(参考:1000円札は0.1mm)

内容
賛歌、旧約聖書 詩篇53章

<ラテン語原文>
[recto]
Deus in adiutorium meum intende.
Domine ad adiuvandum me festina.
Gloria Patri, et Filio: et Spiritui sancto.
Sicut erat in principio, et nunc, et semper: et in saecula saeculorum, Amen.

Memento salutis auctor.
Quod nostri quondam corporis,
Ex illibata virgine
Nascendo, formam sumpseris.
Maria mater gratiae,
Mater misericordiae,
Tu nos ab hoste protege,
Et hora mortis suscipe.
Gloria tibi Domine,
Qui natus es de virgine,
Cum patre, et sancto spiritu,
In sempiterna saecula. Amen.

Ant: Missus est.

Psalmus (53)
Deus in nomine tuo

[verso]
salvum me fac: et in virtute tua iudica me.
Deus exaudi orationem meam: auribus percipe verba oris mei.
Quoniam alieni insurrexerunt adversum me, et fortes quaesierunt animam meam: et non proposuerunt Deum ante conspectum suum.
Ecce enim Deus adiuvat me: Dominus susceptor animae meae.
Averte mala inimicis meis: et in veritate tua disperde illos.
Voluntarie sacrificabo tibi: et confitebor nomini tuo Domine, quoniam bonum est.
Quoniam ex omni tribulatione eripuisti me: et super inimicos







ラテン語 時祷書 (ルカによる福音書+マタイによる福音書)
フランス パリ
1450年頃 ヴァロワ朝シャルル7世時代

内容
新約聖書ルカによる福音書 1章36-38節 〜 祈祷(集祷文) 〜 新約聖書マタイによる福音書2章1-3節

<ラテン語原文>
sua: et hic mensis sextus est illi, quae vocatur sterilis: quia non erit impossibile apud Deum omne verbum. Dixit autem Maria: Ecce ancilla Domini, fiat mihi secundum verbum tuum.

Deus qui de beate Marie virginis utero verbum tuum angelo nunciante carnem suscipere voluisti presta supplicibus tuis ut qui vere eam dei genitricem credimus eius apud te intercessionibus adiuvemur. Per eundem dominum. Amen

Cum ergo natus esset Iesus in Bethlehem Iuda in diebus Herodis regis, ecce magi ab oriente venerunt Ierosolymam, dicentes: ubi est qui natus est rex Iudaeorum. vidimus enim stellam eius in oriente, et venimus adorare eum. Audiens autem Herodes rex, turbatus est, et omnis Ierosolyma cum (illo)

<日本語訳>
「・・・不妊の女と言われていたのに、もう六か月になっている。神にできないことは何一つない。」マリアは言った。「わたしは主のはしためです。お言葉どおり、この身に成りますように。」

神よ、あなたは天使のメッセージを通して、祝福された聖母マリア様が御言葉を肉体として身ごもることをお望みになられました。
マリア様を神の母と信じる私たちの願いを、彼女を通して叶えてください。主の御名において。アーメン

イエスは、ヘロデ王の時代にユダヤのベツレヘムでお生まれになった。そのとき、占星術の学者たちが東の方からエルサレムに来て、言った。「ユダヤ人の王としてお生まれになった方は、どこにおられますか。わたしたちは東方でその方の星を見たので、拝みに来たのです。」これを聞いて、ヘロデ王は不安を抱いた。エルサレムの人々も皆、同様であった。





<筆写間違いの跡>


最後の最後での筆写間違い。前の行で書いた「turbatus」(不安を抱いた)という単語をもう一度書いてしまったようです。
赤い取り消し線で消してあります。

ラテン語 聖務日課書 
フランス
1300〜1325年頃

内容
旧約聖書エゼキエル書からの祈り

この写本はよく見ると黒い点々がたくさんあります。
顕微鏡で拡大してみるとかなりの「毛」が残っているのが見えます。

10倍に拡大


また、非常に薄いため、染料インクが年月を経て穴をあけてしまいました。光に透かしてみると、「インク焼け」の箇所から光が漏れます。



<インク焼けの跡>

光に透かして見るとインク焼けの箇所が白く見えます。

ラテン語 聖務日課書 詩篇3章
イタリア
1470年頃

超ミニ写本です。

<ラテン語本文>
Domine quid multiplicati sunt qui tribu/lant me: multi insurgunt adversum me. Multi dicunt animae meae: non est salus ipsi in deo eius. Tu autem dominum susceptor meus es: gloria mea et exaltans caput meum. Voce mea ad domine clamavi: et exaudivit me de monte sancto suo. Ego dormivi et soporatus sum et exsurrexi: quia dominus suscepit me. Non timebo milia populi circumdantis me: exurge domine salvum me fac deus meus. Quem tu percussisti omnes adversantes michi sine causa: dentes peccatorum contrivisti. Domini est salus: et super populum tuum benedictio tua.
<日本語訳>
主よ、わたしを苦しめる者は/どこまで増えるのでしょうか。多くの者がわたしに立ち向かい
多くの者がわたしに言います/「彼に神の救いなどあるものか」と。
主よ、それでも/あなたはわたしの盾、わたしの栄え/わたしの頭を高くあげてくださる方。
主に向かって声をあげれば/聖なる山から答えてくださいます。
身を横たえて眠り/わたしはまた、目覚めます。主が支えていてくださいます。
いかに多くの民に包囲されても/決して恐れません。
主よ、立ち上がってください。わたしの神よ、お救いください。すべての敵の顎を打ち/神に逆らう者の歯を砕いてください。
救いは主のもとにあります。あなたの祝福が/あなたの民の上にありますように。



ラテン語 時祷書 聖母マリアへの祈り「おお、穢れなき者よ」
イタリア
書きかけの時祷書

彩色の前で制作が止まっている、文字だけ書かれためずらしい写本です。写本制作の過程がわかる貴重な資料です。

<ラテン語全文>
O INTEMERATA et in aeternum benedicta, singularis atque incomparabilis Virgo Dei Genetrix Maria, gratissimum Dei templum, Spiritus Sancti sacrarium, ianua regni caelorum, per quam post Deum totus vivit orbis terrarum. Inclina, Mater misericordiae, aures tuae pietatis indignis supplicationibus meis, et esto mihi miserrimo peccatori pia, et propitia in omnibus auxiliatrix.
O Ioannes beatissime, Christi familiaris et amice, qui ab eodem Domino nostro Iesu Christo virgo es electus, et inter ceteros magis dilectus, atque in mysteriis caelestibus ultra omnes imbutus; Apostolus enim et Evangelista factus es praeclarissimus: Te etiam invoco cum Maria matre eiusdem Domini nostri Iesu Christi salvatoris, ut mihi opem tuam cum ipsa conferre digneris.
O duae gemmae caelestes, Maria, et Ioannes. O duo luminaria divinitus ante Deum lucentia, vestris radiis scelerum meorum effugate nubila. Vos enim estis illi duo, in quibus Deus Pater ....

最初の大きく抜けた箇所には「O」の文字が入る予定でした。



公文書、契約書

イタリア 公文書
1566年 土地売買に関する文書
ラテン語

子羊の右半身、首から肩、腰の一部にかけて部分を使用。文字は肉側に書かれています。羊は肩甲骨部分に穴があくことが多いため、この羊皮紙は羊であることがわかります。
厚さは0.25mmで、官製はがきと同じ厚さで、公文書羊皮紙としては薄いほうです。
肩甲骨の穴の上には十字架がペンで書かれています。



フランス 公文書
1663年 ブルボン朝ルイ14世時代の裁判記録
フランス語

動物の首から肩にかけての形状(上半身)が見て取れる公文書。

フランス 支払い証書
1692年 ブルボン朝ルイ14世時代
フランス語

内容
ドゥ・ラ・ポルト氏の19,000リーブルの借金に対する3,000リーブルの支払い証書

イギリス 入境許可書
1731年
ラテン語

内容
Marie Badgerという人物のウスターシャー地域のワーリー地区への入境許可書
納税のスタンプおよび蝋の印章つき


フランス 公文書
1782年 ブルボン朝ルイ16世時代
フランス語



フランス 公文書 (フランス革命の3年前)
1786年 ブルボン朝ルイ16世時代の裁判記録
(フランス革命の3年前)
フランス語

赤枠の箇所:
Louis, par la grace de Dieu, Roi de France et de Navarre, a tous presents et a venir, salut.
神の恩寵によりフランス及びナヴァールの王たるルイより、当該書状を目にする者すべてに挨拶を送る。


この文言は、フランス国家が発行する公文書の冒頭に書かれる枕詞です(「ルイ16世の直筆」というわけではありません)。987年のユーグ・カペーから1870年のナポレオン3世まで形を変えながら使われてきました。



羊皮紙の装丁

イタリア ペトラルカ詩集
1886年 印刷本
イタリア語

羊皮紙に金箔の型押しの装丁です。
中身は紙の印刷本です。


■ オリエント・コレクション


ユダヤ教トーラー

民数記 全章
ヘブライ語 (アッシリア書体)
全長3メートル
1850年ごろ

民数記はヘブライ語では「砂漠にて」というタイトルのついた、旧約聖書の4番目に当たる書物です。旧約聖書の中の最初の5書(創世記、出エジプト記、レビ記、民数記、申命記)は特に「モーセ五書」と呼ばれ、羊皮紙の巻きものとして今でもユダヤ教の会堂の主体となっています。これはその中の1セクションです。

内容(概要)
・ シナイ山における人口調査と出発に至るまでの記述、ナジル人など種々の規定(1章〜10章10節)
・ シナイ山からモアブにいたる道中の記述、カナンへの斥候の報告にうろたえる民の姿(10章11節〜21章20節)
・ カナンの民との戦い、ヨルダン川にたどりつくまで(21章21節〜36章)




トーラー断片 創世記26章18節〜27章37節
ヘブライ語 (セファラディ書体)
イエメン
1750年ごろ

イエメンのユダヤ教会堂で使用されていたトーラーの断片です。もともとは横に長い巻物ですが、このように切り取られています。

ユダヤ教では、上のような白い羊皮紙を「クラフ」、右のような茶色いレザー系の羊皮紙を「グヴィル」といいます。イエメンでは、このグヴィル羊皮紙が主流として使われていました。ただ、羊皮紙とは言っても、実質はレザーです。

内容(概要)
・ アビメレクとイサク との契約
・ アブラハムのイサクへの祝福



一番下の左の単語が「イサク」(イツハーク)です。




一番上の行真中の単語が「アブラハム」、
二番目の行の真ん中の単語が「神」を意味します。



エチオピア キリスト教文書

聖人の文書
年代不明(100年ほど前?)
ゲエズ語(古代エチオピア語) *

内容
聖人の記録。詳しい内容は現在解読中ですが、エチオピアの修道士「ザラ・ブルク」の名前が読み取れました。

* ゲエズ語とは、エチオピアで10世紀ころまで話されていた言語です。書き言葉としては19世紀まで使用されていたようです。

エチオピア 旧約聖書 詩篇
19世紀
ゲエズ語(古代エチオピア語) *

内容
旧約聖書詩篇の冊子です。




伝統的な木の装丁


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